味噌は万能の調味料
汁物や和え物、なめ味噌、鍋料理、炒め物料理
焼き物料理、煮物などどんなものにも使われる。
全国にはおびただしいほど多くの郷土味噌料理があって
これだけ広範囲に使われる調味料は味噌以外はないであろう。
きっと味噌は調理されるとき
出来上がった料理に素晴らしい効能を与えてくれるからこそ
このような使われ方をするのだろう。
味噌の持つ特性はまず第一に味噌の持つ味と香り
味噌の主原料はたんぱく質の豊富な大豆であるので
これが麹菌の生産したたんぱく質分解酵素に作用されると
分解し、美味しさの成分であるアミノ酸やペプチドに変化するから
味噌はとても美味しいのである。
発酵するとき酵母や乳酸菌も働いて酸味を付与したり、
香気成分も作るので風味は一段と高まって、
原料の大豆とはまるで違った嗜好食品になっているのである。
この味噌のうま味や酸味、香気成分は料理される材料を
丸ごと包み込むので出来上がった料理は誠にもって美味しくなるのである。
また味噌には出汁と調和するという効用があるのである
カツオ節や昆布、しいたけなどは核酸系呈味体が中心で
この呈味体がアミノ酸呈味体と出会うと
いわゆる味の相乗効果が起こって猛烈に旨味が増強されるのである。
さらに味噌には緩衝能という物理的、生理的性質があって
味を様々に変化させることができる
たとえば、酢の酸味が強すぎるとき、そこに味噌を少し加えてやると
酸味が和らげられるので酢味噌やぬたなどの料理に応用されるのである
味噌は他の食品と比べて驚くほど強い抗酸化力が備わっている
大豆を使う味噌には大豆から資質がいっぱい入ってくるので
製品味噌には5~6%の脂質が含まれているがそれが酸化されることはなく
またビタミン類の酸化も抑えられて残存している。
この抗酸化物質の正体は味噌中に大豆から溶け出したサポニン、イソフラボン
トコフェロール、レシチンのような抗酸化物質や
発酵によって生じた様々な抗酸化力のあるペプチド、メラノイジン、
のような物質であることがわかってきている
小泉武夫著 醤油・味噌・酢は凄いの本から